【アニメ版】約束のネバーランド1期12話まで見た感想とレビュー。母イザベラ!そうだったのか!あんた凄すぎるよ( ;∀;)
※注意
この記事は作品の内容にかなり深く言及しているので、まだ視聴していない人、ネタバレしたくない人は見ないように!
いや~終わりましたね。約束のネバーランド。全12話。
Amazonプライムの見放題にあったので、ウォッチリストにずっと入れていたのですが、2019年3月下旬に12話まで放送が終わったようなので視聴しました。
普段アニメは1日に2~3話ずつ見進めていくのですが、面白すぎて時間を忘れて一気に12話まで全部見てしまいました。
それに普段こうやってアニメの感想をブログに書いたりすることは無いのですが、色々と込み上げてくるものがありまして、つい貴重な時間をさいて書きたくなったわけであります。
正直それくらい凄い作品でした。
ちなみに漫画は読んでいないので、アニメ化された部分までの感想、考察です。1期12話まで視聴済み。
- イザベラ凄い。ただそれだけ
- 「死ぬ」か「ママ」になるか。こんなの強制二択やん!
- イザベラ救われて欲しい( ;∀;)
- 家畜に家畜を育てさせる鬼が作った自動生成システム凄すぎわろた。やばいよこれ
- 今の世界もプラントのような奴隷社会だ
- レイが何もかも知っていたシーンはゾッとした
- 子どもたちが大人だったのが好きだった
- 第三プラント以外のプラントのことが気になった
- 今後の展開について。2020年の2期が楽しみすぎる
イザベラ凄い。ただそれだけ
この作品、ほんと考えさせられることがいっぱいありまして、一体何からどう書けばいいのか難しいのでございますが、まず言いたいのは、第三プラントのママ(母)、イザベラの境地 についてですね。
結局、母イザベラですら、鬼が作り上げた巧妙な畜産システムの中に組み込まれていたわけで、鬼とグルなのではなく、ただの羊飼いの犬にすぎなかった。
で、子供の頃にすでに壁の外を見て真実を知っていたイザベラは、「この負の連鎖からは決して抜け出すことはできない」と悟っていたわけです。自分自身が少しでも長く生き延びるために、目の前の仕事を必死にこなしていたんですよね。それの何が悪いのかっていう。
「死ぬ」か「ママ」になるか。こんなの強制二択やん!
アニメでは詳しく語られていなかったけど、イザベラは「死ぬ」か「ママになるか」の選択肢だけじゃなく、おそらく「死ぬ」か「子供を産むか」という強制二択も通過していたはずなんですよね。レイが「なんで俺を産んだの?」って聞いたとき、イザベラは「少しでも長く生き延びるため」のようなことを言っていたので。
ママ候補は沢山いましたけど、プラントは全部で5つっぽいので、おそらく成績が悪いと餌にされる、みたいなサバイバルレースもあったことでしょう。そういった試練も勝ち抜いてイザベラは第三プラントのママになっているはずなのです。なんか泣けますよね。
そしてママとなった今は、少しでも長く生き延びるために、今度は「グランマになる」という道を選んだのでしょう。そうじゃないとおそらく鬼の餌にされてしまう。それを回避するために必死に頑張っていた。
イザベラ救われて欲しい( ;∀;)
で、そういった袋小路を自ら経験したイザベラがたどり着いた境地というのが、「ここから抜け出すことができないのなら、せめて出荷の時期が来るまで、子どもたちに楽しく幸せに生きてほしい。死の恐怖や苦しみは一瞬だから」ということだったと思うんです。
仮に、プラントの真実を子どもたちに教えて脱走の手助けをしたとしても、外の世界で生き延びられる保障なんてありません。だから、プラントの中で真実を知らないまま幸せに生きて、最後の最後だけ苦しんで死ぬ、という選択肢を子供に与えていた。
何が悲しいかっていうと、15人も脱走を許してしまったイザベラは、間違いなく鬼から制裁をくらうことになるだろうなあということ。
はぁ。イザベラさん救われて欲しいなあ。彼女なんも悪くないじゃん。ただ必死に生きていただけ。
2020年にアニメ2期が放送されることが決定しましたが、2期ではイザベラの今後についても描かれるのかなあと期待しています。イザベラがこれからどうなるのか、自由になれるのか、それとも地獄にとらわれたままなのか、凄く気になります。彼女にはほんと救われて欲しい。
家畜に家畜を育てさせる鬼が作った自動生成システム凄すぎわろた。やばいよこれ
この鬼が作った仕組みの凄いところは、人間に人間を管理させていること。
人間の世界にも養殖場はあり、放牧とかだと犬を使って見張りとかをやらせていたりしますが、基本的に機械や人間が管理するんですよ。
だけどこの鬼が作った家畜システムは、餌である人間に人間を管理させているんですよね。
まず12歳になった女子に、「商品(餌)」になるか「ママ(飼育員)」になるかを選ばせる。この「選ばせる」というのがポイントで、たとえそれが強制二択だとしても、提示された選択肢のどちらかを選んだ人間は、「自分が選んだ道だ」と納得して受け入れるんですよ。恐ろしいことに、鬼たちはそういった人間の心理誘導のテクニックも心得ている。
そして、ママになることを選んだ女子に妊娠&出産させ、次代の餌&飼育員となる子供を確保する。
さらに、そのママ自身に生まれてきた子供を飼育させる。そしてその子供がやがて12歳となり、「商品」か「ママ」になるかの選択肢を迫られ・・・
以下ループ。
この仕組み凄すぎませんか?やばいでしょ。ザ・自動生成。上質な食料の安定的な確保を、自分たちの手をほとんどわずらわすことなく成し遂げている。かったるい労働すら餌の人間にさせる完全無欠な最強システム。
鬼がすることと言えば、たまに人間を脅すこと。「おいお前らちゃんとやってるかぁ?」と。鬼が人間より圧倒的に強いからこそ成り立っているシステムですね。
多分、高学歴な人間をたださらってくるってのではダメなんですよ。人間だって、固い野生動物のお肉より、手間ひまかけてじっくり作ったジューシーなお肉の方が断然好きじゃないですか。それと同じ。この鬼たちが望んでいるのもまさにそうした「上質な食品」なのだと思います。
でもよく考えたら、鬼だけじゃなく人間も家畜や養殖とかをやっているわけです。『約束のネバーランド』を読んで、家畜の気持ちを知りなさい!ってことですね笑。牛や鶏も必死に生きてるんだよってことに気付きたい。そして食べ物に感謝したいです。私もこのアニメ見て以前より食べ物に感謝できるようになりました。
今の世界もプラントのような奴隷社会だ
現代の日本、というか世界の状況もこのプラントとそう変わりないような気もします。人間が人間を飼育して社会に出荷している。
もちろん、現代の社会は、受験戦争や就活戦線で敗れたとしても、鬼の餌にされて死んだりとかは無いですが、社会的には充分な打撃を受けることになりますからね。実際、就活に失敗して自殺する人も多いですし。
結局私たちの世界も、安定した生活を手に入れるためや、少しでも給料が高くていい暮らしをするために、子供の頃から他人としのぎを削っています。
というより、そういう現代の空気を上手く取り入れているからこのような作品に仕上がっているわけですし、現代を生きる人たちに共感されたからこれだけ話題になっているわけですね。
やはり格差社会になると、「奴隷」「搾取」「脱獄」「自由」「閉塞感」「壁に囲まれた世界」、こういった作品がヒットしやすいのだなあと改めて思います。
この『約束のネバーランド』の場合は、「人間の世界」をフィクションに落とし込んだというより、「家畜の世界」を人間バージョンにしてフィクションに落とし込んだ、と表現したほうがいいのかもしれませんが。つまり「現代の人間の社会」は「家畜の世界」に近くなっていると言えます。
レイが何もかも知っていたシーンはゾッとした
演出についてあれこれ気付いたこと、考えたことなど。
12話の最後で、レイが鼻歌を歌うシーンがあるんですよね。その鼻歌は、息子のレイがお腹にいるときにイザベラが歌っていた曲。
つまり、ここでイザベラは、レイに赤子のときの記憶があることを知るんです。産まれてすらいなかったときの記憶を我が子が持っている。
ここは2つの意味で衝撃なんですよ。
まず1つ目に、本来赤子のときの記憶など無いはずだと思っていたのに、鮮明に覚えていたというギャップによる恐怖。これ軽くホラーじゃないですか。これはひぐらしのアニメ14~15話くらいでリカちゃんが未来を予言するシーンにも使われている演出です。
本来知るよしもないはずの情報を、無垢な子供が知っているという事実。そのギャップが驚きと恐怖を与えるんですよね。
そして2つ目に、隠していたことがとっくにバレていたということに気付いたことによる焦燥感です。これは、浮気がバレて焦る人たちと同じですね。
母イザベラは、プラントの真実を徹底して子どもたちに隠していたのに、なんと息子のレイはとっくの昔に全部知っていたのです。優しく包み込むような笑顔も全部嘘だとバレていた。そりゃ焦りますよ。
1.赤子のときの記憶があるわけがないというギャップによる恐怖
2.隠していたことを知られていたという焦燥感、切迫感
この2つが融合して、なんだかゾッとするシーンになっているんですよね。イザベラも顔が引きつっていましたが、まさにあんな感じです。
この演出をアニメ最終話の後半に持ってくるか!と恐れ入ったという感じでした。レイに幼児期健忘が無いという事をこういう風に使われるとは思ってもみませんでした。
もしかすると、母イザベラはレイのことを我が子だと知らなかったかもしれません。妊娠→出産したあと、我が子を顔も見せてくれずにすぐに鬼たちに取り上げられシャッフルされたのだとしたら、自分の子供だとは分からないのではないでしょうか。
要は、上2つの衝撃に、さらに「3.レイが我が子だった」という3つ目の衝撃もプラスされていたのだとしたら、そりゃもう腰を抜かすほどおったまげますよねと。しかしさすがイザベラというべきか、あの場は引きつった笑いでなんとか耐えていました。が、あのときの心境は相当やばかったと思います。
それからイザベラが妙にレイに甘かったのも納得できましたし、子どもたちの脱走計画を阻止するためにレイを監禁したのも、そんなことしても無駄だからやめときなさい、という母からの忠告だったのでしょう。
子どもたちが大人だったのが好きだった
子供って意外と大人なんですよね。約束のネバーランドは、子供を子供として媚びた感じで描かず、大人っぽく描かれていたのが好きでした。
いや1~11話くらいまでは割といわゆる「子供」として描かれていたのですが、最終話の12話で全部ひっくり返して来たんですよ。
脱獄のために子どもたちが計画や準備を徹底していたこと、予行練習を何度もしていたこと、子供の大なる可能性とでも言うのでしょうか。
「子供は物を知らないだけで、知性はある」といった任天堂の宮本さんの言葉が思い浮かびますね。
多分こういったことを知らない人たちは、「子供はバカなのにあんな凄い脱獄計画を成し遂げるなんてありえない」とふんぞり返ると思うんですよ。
でも違うんですよね。子供と関わっている人はみんな知っていると思うのですが、子供ってほんとに凄いんですよ。子供が面白いという遊びは、大人が遊んでも例外なく面白い。私は昔クレヨンしんちゃんにハマっていたのですが、あれは大人になってから見ると更に面白い。子どもたちは本質的なことをよく分かっているんですね。
あとで知ったのですが、漫画版だとどうやらフィル(4歳の男の子)は凄く賢くてスコアが高い、みたいな設定だったらしいです。そういや本のモールス信号とかフィルが気付いたとか言ってたな・・・。繰り返し見ていたら、アニメ視聴者もフィルがただものではない事に気づけたのだと思います。
4歳のフィルは頭がいいだけじゃないんです。ほんとに仲間思いだし、長期的、大局的なことも分かっている。そして何よりママのイザベラのことを心からおもんぱかっていた。あの状況で仮に4歳以下も含め全員脱獄していたとしたら、イザベラは間違いなく鬼たちに始末されていた。だけどフィルの勇気ある決断によって、その道は回避された可能性が高い。ほんと凄いよフィル。
NARUTOのイタチじゃないけど、こういう神童的な子供たちの描写ってほんと好きです。歴史の教科書に載っているような後世に名を残している人たちの幼少時代は、きっとこんな感じだったのでしょうね。大人はもっとしっかりせい!
第三プラント以外のプラントのことが気になった
第三プラント以外のプラントも第三と同じ形式なのかなあと疑問に思いました。
例えば、第一プラントは大人を飼育、第二プラントは大量生産、第三プラントは高い知性、第四プラントは~、みたいな感じで色んな種類のプラントがあるのかもなあと思ったり。
人間社会にも、黒毛和牛だとか神戸牛とか、安い海外の牛とか、色々あるじゃないですか。
それとも1から5までのプラントは全部画一的なのか。この辺もおいおい明かされていくのではないでしょうか。
今後の展開について。2020年の2期が楽しみすぎる
なんか12話で描き切ったような感じもするし、その一方で広がりを残しているようにも感じられますね。
子どもたちは無事牢獄から脱走できたので一旦ここで一区切りついたのですが、第三プラントの4歳以下の子どもたちや、他のプラントの人たちを残しているわけで、更に話が展開していく余地を残しています。
というより実際漫画はすでに13巻くらいまで出ているらしいので話は普通に続いているわけですが。いやそうではなく、アニメ12話を見た段階においても、世界観的にどこまでも広がる余地を作っているなあという印象を持ったという話です。
2期からは、脱走劇ではなく救出劇が描かれるのかなあと予想したり。
そして世界の真実、鬼たちとの攻防が描かれるのではないかなあと期待しています。
というかママたちも助けてあげて!元々は同じ境遇の人たちなのだから。
外の世界に他の人間がいるなら、その人間たちと結託して鬼たちとガチンコバトル、みたいな展開もありえるかもですね。
鬼と人間が契約してて、プラントには不可侵です、みたいな設定だったら絶望すぎですが。でもこれ意外とありえるんじゃないかなあと思います。一部の人間の金持ちたちが、利益を得るために鬼たちと結託してプラントをやっている、とかだったら最悪ですね・・・。六角形のプラントは1つだけじゃなく、世界に無数に点在しているとかだったらもっと大変だ。
というか、第三プラントの脱走のせいで明らかにセキュリティが厳しくなるはずなので、2年後ほんと大丈夫かよ・・・という気もします。
壁がもっと高くなっていたり、反り立つようにされたり、壁の近くには木を植えないという決まりが作られていたり、壁の向こう側の崖をより深く長くされたり、色々絶望的なことがほどこされる可能性はあると思います。
『約束のネバーランド』はどこまでも続いていく余地を残しているし、それだけのしっかりした世界観が構築されている作品だと感じます。
原作未読なため、原作が今どういう風に展開されているのか分かりませんし、アニメ派なので漫画は読まないようにしますが、展開が楽しみで待ちきれないですね。
間違いなく、脱獄物&ホラー作品としては一品だと思います。
2020年に第2期が決定していますが、漫画は読まずに楽しみに待ってます。