単なる備忘録

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公務員は給料をもらいすぎなのか?

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民間は苦しんでいるのに、公務員は俺たちの血税で昇給したりボーナスをもらっていたりしてズルい!公務員の給料は高すぎる!不公平だ!減給しろ!

景気が悪くなると必ず出てくるのが、この手の「公務員叩き」。

バブル時代のように景気がいいときは、公務員の給与は民間に比べて相対的に安かったため、「公務員になるやつはバカだ」と言われていた。

民間企業大礼賛の時代である。

それが一転、景気が悪くなると、途端に民間企業に務める人たちの給与は落ち込むから、景気の影響を受けにくい公務員の給与は相対的に高くなる。

公務員一強の時代となる。

公務員の給料を簡単に変動させてはいけない

きっとあなたはこう思うだろう。

「公務員はズルい!俺たちの給料に合わせろ!」
「公務員の給料も景気に合わせて変動させた方がいいのではないか?」と。

つまり、民間に合わせて、景気がよくなれば公務員の給料も高くし、景気が落ち込めば公務員の給料も下げる。

一見、合理的に感じる。

しかしこれは、国家のマクロ経済的に絶対にやってはいけないこと なのだ。

それはなぜか?

公務員には、景気の安定化装置(スタビライザー)の役割があるからだ。

 

国家の安定化装置(スタビライザー)とは?

どういうことなのか説明しよう。

公務員の給料は、景気がいいときには民間よりも相対的に低くなるため、消費を抑制する。民間がお金をジャブジャブ使っていたとしても、公務員は平常運転のまま。よってバブルのような過度なインフレを防いでくれる。

逆に、景気が悪化したときには、公務員の給料は民間よりも相対的に高くなるから、民間が買えない分、公務員が消費を下支えしてくれる。デフレの悪化を防いでくれるのだ。

つまり、現代の日本の状況は、まさに公務員が経済を下支えしてくれている状況であり、この状況で公務員の給与やボーナスをカットしてしまうと、日本の景気はさらなる悪化の一途を辿ってしまうことになる

だから本来我々は、公務員に感謝しないといけない。景気がいいときは安い給料で頑張って働いてくれてありがとう、景気が悪いときは消費を下支えしてくれてありがとう、と。

にも関わらず、そうした事情を知らない多くの人たちは、調子のいいときは「公務員になるとかバカだ」と煽っておきながら、調子が悪くなったら「公務員は腹を切れ!」と叩く。

 

安定化装置(スタビライザー)は沢山ある。国家はよくできている

公務員の役割の一つが、国家の安定化装置(スタビライザー)である。

国家にはこうしたスタビライザーが沢山組み込まれている。

たとえば法人税法人税は赤字なら払わなくてもよいため、不景気で企業の業績が件並み落ち込んだときには、再起をうながす。景気がよくなり、企業の業績がよくなると税金を徴収するため、税が重しとなることで過剰な景気の加熱を防ぐことができる。

所得税も同様。所得が減れば納める税金は減り、所得が増えれば納める税金は多くなる。

先代の優秀な人たちが、議論に議論を重ね、社会が上手くいくようにちゃんと仕組みを作ってくれているのだから、一時の大衆の気分でそう簡単にいじくり回していいものではないのだ。

というより、1990年代以降の徹底した構造改革に見られるように、ちゃんとできていた社会の仕組み・制度をいじくり回しておかしくしてきたから、今の悲惨な日本の状況になっているというのが正しい。構造改革によって、アルバイト、パート、派遣といった非正規雇用が増大した。更に、その構造改革の延長で、近年では外国人労働者も激増しており、その結果日本人労働者の賃金上昇が抑制されている。

 

お金は巡るもの

そもそも、公務員が使ったお金は、我々民間で働く人たちの給料となって渡ってくる。公務員がお米を買えば、農家が潤う。その農家がトラックを買えば、自動車関連の民間企業で働いている人たちが潤う。

つまり、公務員の給料が高いままの方が我々の給料にとってもいいことだし、逆に下げてしまうと我々に渡ってくるお金の量も減る。

公務員は日本に何百万人もいるから、景気に与える影響は甚大だ。なにより、一部の地域だけではなく、都市や地方を問わず全国津々浦々にいて、まるで毛細血管のように日本全国を張り巡らせているので、景気の下支え役としては非常に重要な存在だ。

 

お金は水に似ている

お金とは、バスタブにたまった「水」に似ている。バスタブに穴を沢山開ければそこから水(お金)があちこちからプシューっと放出される。そのいくつもの穴こそが公務員なのだ。政府が税金として徴収した膨大なお金(バスタブの水)は、公務員などを伝って我々民間の手に渡ってくる。

そしてそのお金の一部が再び税金として徴収され、それがまた公務員などの給料として支払われ、それがまた我々の手に渡ってくる。経済とはそうした循環のことである。

サラリーマンをやっていると、ノルマを達成しようがしまいが毎月決まった日にお金が振り込まれるため勘違いしやすいが、お金は決して天からパラパラと降ってくるものではない。地下からグツグツ湧いてくるものでもない。人の手を伝って渡ってくるものなのだ。

 

景気の悪い今こそ公務員の給料を増やせ

ここまで読んできた人にはもうお分かりだと思うが、景気の悪いときこそ公務員を増やしたり、公務員の給料を上げたりする必要がある

今の日本は、景気が悪いのに公務員を削減したり給与を減らしたり非正規職員を増やしたりしており、完全に時代と逆行している。

こういった措置こそが、日本の不景気を長引かせている大きな要因の一つになっている。

本来なら、景気が悪化したら景気対策の一環としてむしろ公務員の待遇を改善したり増やしたりしなくてはいけない。もちろん民間企業の救済なども必要だが。

 

人を引きずり下ろして自分が上がったように錯覚するのはもうやめよう

そもそも、人を叩いて引きずり降ろそうとするその精神性がよくない。

誰かを叩いたところで、あなた自身の給料は上がらない。それどころか、公務員を削減したり給料を減らしたりすると、国家全体の「消費」が大きく落ち込むから、巡り巡ってあなたが務めている会社の業績も悪くなり、あなた自身の給料も下がってしまう。当然失業のリスクも跳ね上がる。

世の中は、誰かを叩いて自分が幸せになるようにはできていない。

こういったことを今一度よく考えたい。