単なる備忘録

雑記的なの書いてます

豪雨被害を見て「国会議員の給与半減で防災対策を!」とかいう愚かな人たち。それ逆効果やで。

今回の豪雨被害を見ていてよく目にするのが、

  • 「なぜ無駄なことにお金を使うばかりで、防災対策はしないんだ!」
  • 「公務員や国会議員の給料を削減して、防災対策にもっと回せ!」

と言った旨の発言。

 

まあ色々突っ込みどころはあるが、まず、1つ目に知っておきたいのは、

もし公務員の給料などを削減すれば、防災対策はますます進まなくなるということ。なぜなら、公務員の給料を削減するということは、国家全体のGDPが減少するということだから、税収が少なくなり、防災対策に使えるお金が減るということだからだ(そもそもお金が足りなければ建設国債を発行すればいいだけだが)。

要は、公務員や国会議員らの給料を削減したら、景気が悪くなって財政が悪化するから、むしろ防災対策がより難しくなり、今回のような被害が更に起こりやすくなるということ。皮肉なことに、人の足を引っ張れば引っ張るほど、巡り巡って自分自身の安全が脅かされるという状態となって跳ね返ってくるというわけだ。

公務員の給料をわざわざ削らずとも、そのまま建設国債を発行して防災対策を進めればいい。防災対策として公共事業を行えば、有効需要が生み出されて経済も活性化するから、国民全体の所得も増えて一石二鳥である。国民の「安全」と「所得向上」の両方を得られる。

みんなで上がるか、みんなで下がるか。卑しい顔をしながら政治家や公務員叩きをしていると、残念ながらあなた自身も貧しくなってしまう。世の中は、人を叩いて幸せになるようにはできていない。

 

それに、日本は公共事業を含め無駄な財政政策などほとんどやっていない。むろん、今回の被害を見ればお分かりのように、防災対策も圧倒的に足りていない。

公共事業自体は、1990年台の後半辺りからガンガン削減されており、その結果、今回の豪雨被害に繋がったと考えた方がいい。もっとしっかり公共事業をやっていれば、今回のように死者を百名以上も出すような被害にはなっていなかったと思う。

 

そもそもだが、今の日本のようなデフレの国にとって「無駄な」財政政策など存在しない。デフレを解消するためには、何よりもデフレギャップを埋めなくてはならない。

デフレギャップとはすなわち生産が過剰な状態を指し、失業者が多いことを意味する。デフレギャップを埋めるためであれば、「無駄」に思えるようなことでも、やらないよりはやった方がましである。

エジプトのピラミットも、「あんな無駄な建造物を作るとは信じられない!王様はあんて欲の塊なんだ!」のように思う人もいるだろうが、あの無駄とも思えるような巨大な建造物を作ったおかげで、多くの雇用が生まれて助かる人もいたし、技術も発展したらしい。

つまり、不景気の国にとって「無駄を削減しろ!」という議論自体がそもそもおかしな話なのだ。少なくても日本のようなデフレの国では「無駄な」投資など一つもない。もちろん、あからさまに無駄な場所にわざわざ投資する必要はなく、防災対策など効果的な場所に投資すればいい。

 

お金の問題だけではなく、日本人の精神性が問われている

人を叩いて蹴落とそうとする考え自体が人道的にどうかという問題もあるのだが、そもそも「防災対策」といった安全保障上の意味や、経済的な観点から見ても、「公務員の給与を削減して防災対策を!」という考え自体が、様々な矛盾をはらんでいるということを知っておきたい。

「あんさん、それ逆効果やで!自ら死にに行ってまうで!」と。

だがとても恐ろしいことに、ヤフーニュースのコメ欄などを見てみても、こうした「公務員は腹を切れ論」が割と賛同を得ていたりする。ツイッターでも、大量にRTされたりいいねボタンが押されたりしている。

こうした「公務員は腹切れ論」に賛同している人たちは、他人を叩くことで自らも知らず知らずのうちに沈みゆくことを知るべきだ。

 

そもそも、こんな大変な状況の中、国民を守るために公務員は必死になって働いてくれているわけで、その彼ら彼女らに向かって、「給与を削減しろ!」だなんて道義的にあまりにも酷いことだとは思わないのだろうか。

いつから日本人はこんなに仲間同士で潰し合うような人たちに成り果ててしまったのだろうか。

私は悲しい。