単なる備忘録

雑記的なの書いてます

海外の反応をついつい見てしまう心理と危険性

アメリカ人「日本人の優しさに感動した!
フランス人「日本の技術は素晴らしい!
ポルトガル人「日本人はなんて礼儀正しいんだ!

こういう感じのいわゆる「海外の反応」をまとめたサイトがある。で、僕もついつい見てしまうことがある。

日本を褒めちぎった文章を読んでいると、まるで自分が褒められたような良い気分になる。悪くない。

だけど、外人に褒められてホルホルしてるようじゃ、親や学校の先生に褒められて喜んでるガキと変わらんよなあと自戒の念を込めて思ったり。

 

 

海外の反応を見たくなるのは承認欲求を満たすため

たまに海外の反応系のサイトを覗いて良い気分になりたくなるのって、承認欲求を満たしたいからなのだと思う。

若い女の子が、インスタ映えのためにおしゃれなお店に行ったり、facebookで子供と一緒の写真を撮って幸せアピールしたり、ツイッターで自慢っぽい呟きしたり、そういうのと変わらないんじゃないかな。

人間には、周りの人に認められたいっていう承認欲求がある。SNSとか使ってる人なんかはそういうツールで承認欲求を満たすのかもしれないけど、SNSをあんまやってない自分みたいな人間は、ときどき海外の反応とかを見ることによって、自分が褒められているように錯覚して欲求を満たしているのかもしれない。

アメ公「日本のアニメで俺たちは育った!」
わい「日本のアニメええやろ~(*´∀`*)」

みたいな。

 

過激な選民思想的なのは危険かなあとも思ったり

海外の反応って、結構メジャーなジャンルで、ニコニコとかでも昔から人気があった。海外の反応系のサイトなんてそれこそ無数にある。そしてアクセスも多い。まあなんていうか、日本人て基本的に外人が好きなんだよ。

だけど、気をつけないといけないと思うのは、あまりに外人が日本人を褒めているのを見すぎると、まるで自分たちが他国の人間より遥かに優れているかのように錯覚してしまったり、他国の人間が劣っているかのように思ってしまったりすること。

僕は日本が好きだし、日本の自然観とか文化が好きだ。日本が他国より優れている部分は沢山あるだろう。だけど、それをわざわざ自分たちで「俺たちって最高だよな!」みたいにイキるのはかっこよくない。もちろん、自虐する必要もないけど。要は、自分からイキるんじゃなくて、勝手に褒められて「ありがとな」くらいがクールじゃない?ってことだ。クールジャパンとかあんなお寒いことはやめて欲しい。別の意味でクールになってる。

海外の反応見て楽しんだり、元気出したり、自信を持ったりするのは良いと思うんだけど、それが度が過ぎて、「日本人は世界一素晴らしい民族なのだ!( ゚∀゚)アハハ八八!」みたいになってしまうと、さすがに同じ日本人としても恥ずかしい。

ヒトラーは、「アーリア人は世界で最も優れた人種だ!」と大衆を扇動してユダヤ人を迫害した。「○○人は劣っている!」のように、人種で人を判断するのはやはり下品だ。心の清くて美しい日本人としてありたいと思うからこそ、選民思想的なのには染まりたくない。

海外の反応を見るときも、純粋に「外人さんが日本について楽しそうにコメントしてくれてる!」くらいの軽い気持ちで眺めたい。

 

そもそもなぜ海外の反応が流行ったのか?それは孤独が増えたから?

海外の反応って、ネット上では大きな1つのジャンルになってるんだけど、そもそもなぜ1ジャンルとして確立したのだろうか?

さっき上で書いたように、承認欲求を満たしたい人が多いから、ってことなんだろうけど、じゃあなぜそんなに欲求不満な人が多いのか?

それは、近年になって孤独な人が増えたからじゃないかなって思ってる。

 

孤独という現代の病

とある言論人が、「最近は一人ぼっちの人が増えたから、孤独マーケティングみたいのがあるんですよ」的なことを言っていた。

確かに、最近は本屋さんに行っても、「孤独」をテーマにしたものが多い。本屋さんと言えば、世相を最も反映している場所と言っても過言ではない場所だ。

いわゆる「孤独本」の中身を読んでみると、

「孤独はいいぞ!」
「孤独の時間は自分を高めるために必要だ!」

といったように、とにかく孤独な人間を肯定しまくっている。それどころか、

「周りなんか気にせず自分のことだけ考えて生きていけ!」
「群れから抜け出して孤独になれ!」

みたいに孤独をどんどん推奨したりするものもある。

一人で寂しくてつらい人間がそういうのを読むと、まるでぼっちであることを認められているような錯覚を起こし、なんだか心地良い気分になってしまう。

「ああ、一人って実は凄く良いことなんだ!」
「俺は群れてるやつらとは別の世界にいるんだ!」

みたいに。もちろん、読者がそう思うのを著者は織り込み済みだ。読者が気持ちよくなるように狙って書いている。

 

孤独で心が弱い人間ほど承認欲求を簡単に得られるツールに吸い寄せられる

現代は、本屋さんの風景が変わるくらい「孤独」な人間が多い。

戦後、GHQによって家族は解体されて核家族化した。女性の社会進出が進んで、子供が一人でご飯を食べるなんて家庭も多い。アメリカ型の資本主義が導入されて家族的な企業も少なくなった。昔は、出来るやつも出来ないやつも、みんなで助け合って一緒にやっていこうぜ、ってスタンスの会社が多かったんだけど、それもいつしか消え失せた。家も会社も、誰もが孤独で、繋がりに飢えている社会になっている。

繋がりって、確かにときどき厚かましく面倒くさいなあって思うこともあるんだけど、やっぱり人間は繋がりが無いと生きていけない生き物なのだと思う。

孤独で寂しくて承認欲求を満たせない人が増えたからこそ、海外の反応みたいな手軽に承認欲求を満たせるジャンルが流行ってるんじゃないかな。

これは、自分自信を当てはめて考えてみても分かる。海外の反応みたいのを見てると、なぜか人と繋がっているような錯覚を起こして心地よい気分になってしまうんだ。しかも、SNSのようにただ繋がっているのではなく、自分が認められているような錯覚を起こして心地よくなる。一種の中毒のようなものだ。

 

日本が海外から凋落しているのも要因だと思う

かつては世界第2位の経済大国で、アメリカをも抜き去るかもしれないという勢いだった日本だけど、今は見る影もなく凋落してしまった。全体のGDPで見るとまだ世界3位を保っているけど、1人辺りのGDPだとすでに20~30位までガガガッと落ちている。

日本人の中に自尊心や元気が無くなっているのも、海外の反応が人気な1つの要因なのかもしれない。だからある意味、外人さんたちからエールをもらっていると前向きにとらえてもいいんじゃないかなとも思ったりする。

だけど、今やGDPも中国に抜かれ、日本は技術立国でもなんでも無くなったというのに、未だに「日本の技術は素晴らしい!」のような外人の評価を見て、喜び勇んでいる日本人を見ていると、なんだか悲しい気持ちにもなったりする。

それって、お世辞を本気で喜んでいるお寒い人ではないか。もはや技術立国でもなんでも無くなったのに、未だに技術立国だと思い込み、おだてられて喜んでいる現象に、危機感を覚えないといけないと思う。おだてられて乗せられるようじゃ、操られて支配される。

 

海外の反応系のサイトを作ってる管理人の巧妙さ

サイトの管理人も上手い。とにかく日本人を褒めちぎって肯定しまくるような外国人のコメントを抽出して、綺麗に並べ立てている。

彼ら自身も、日本人を「気持ちよくさせる方法」をよく知っているのだ。サイト訪問者たちは、「我々日本人は素晴らしい民族なのだ!」と気持ちよくなり、以降も習慣のようにそのサイトを訪れる。再び、自身が褒められたかのようなあの快感を得るために。

正に中毒。

だが、上にも書いたように、これは非常に危険なことでもある。下手をすると、読者に選民思想的な価値観を植え付けることにもなりかねないし、何より孤独な人間がこうやって安易に快楽を得られるツールにすがり続けることはよくないと思う。

僕自身がハマっていたからよく分かるけど、「肯定される」「褒められる」「認められる」というのは、人を虜にするかなり強力な心理的トリガーなのだ。特に、孤独で元気の無い人間にとっては、この上なく中毒のように病みつきになってしまう。

 

まとめ

簡単にまとめると、

  • 日本人は一人ぼっちの孤独な人間が増えた
  • 日本はここ20~30年でかなり凋落した
  • 海外の反応は、そんな孤独で元気の無い日本人の承認欲求を満たす上手いジャンル
  • 日本人は元々外国人が好き
  • 海外の反応系のサイトを運営している管理人も上手い
  • 楽しむ程度ならいいが過剰な選民思想的な価値観を持つのは危険

特に、日本のサブカルチャー、漫画やアニメといったジャンルの海外の反応は根強い人気があるように見受けられる。これは、コンテンツ由来の力が元々あるからだと思う。

自分が好きなものを外の人間に褒めちぎられると、そりゃあ最強ですわなと。

節度をわきまえて楽しみましょう。

 

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